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渡瀬丈弘 Takehiro Watase
上智大学大学院理工学研究科を卒業後、新卒でITコンサルティング会社に入社し、全社賞を受賞。その後リクルートに転職し、新規SaaS事業として「Airウェイト」を生み出し、社内外の表彰を数多く獲得。アスエネではプロダクト統括/Chief Product Officer("CPO"、最高プロダクト責任者)として、プロダクトの開発推進と開発組織運営を行っている。事業について全方位で知見を持ち、相談しやすい人柄と建設的な議論力で、社員から頼りにされる存在である。
次世代のために、世界基準で求められるプロダクトへの挑戦
木村)アスエネに入社するまでの経歴を教えてください。
渡瀬)1社目は電通系のITコンサルティング会社ISIDに入社しました。大手企業に対して提案から実装までやるので、圧倒される忙しい日々を過ごしていましたが、3年目で全社賞受賞や新部署立上げなどやりがいもありました。
コンサルではなく、自ら事業を運営・作り出したいという思いから、2社目にリクルートに入社。リクルートが注力する業務支援ビジネスの一つ「Airウェイト」をSaaSの新規事業として生み出し、事業責任者として推進してきました。飲食店や医療機関、金融などを中心に店舗運営のDXを実現し、2019年からはリクルートの電力小売事業の責任者も兼務させていただいたんです。
木村)なぜリクルートからアスエネに転職したのですか?
渡瀬)私の職選びの軸は、「自分が成し遂げたいものを作れるのか」と「作ったものが世の中にどれだけ大きなインパクトを与えられるか」です。
1社目にITコンサルティングを選んだのは、幅広い産業のDXに関わり知見を広げられると思ったからです。次に、自らビジネスを作り、日本中に広めたいと考えてリクルートを選びました。社内起業で新規事業を作り、マネタイズ・組織化できたのは貴重な体験をさせていただいたと思います。現在の、日本の生産性の課題に、業務支援プロダクトを作り上げられたと。
そして、次の挑戦をするなら「次世代に価値あるもの」で「世界に挑めるプロダクト」と考えていました。エネルギー業界がドラスティックに変化していくときに、どの会社のどの領域で取り組めば一番世の中にいい影響を与えられるかを考えて、アスエネを選んだんです。次世代に良い影響を残すために、世界基準で戦うプロダクトデザインへ挑戦できるビジネスには、楽しみしかないです。
誰もまだ、真のニーズには応えられていない
木村)アスエネの事業ドメインの「気候変動」領域が、注目されている世の中の流れですが、プロダクト目線でどうお考えですか?
渡瀬)連日のニュースや記事でも、環境問題や持続可能な世界への取り組みは、世界的に大きな流れだと感じています。ですが、正しい取り組み方がわからないために、不安や負荷がかかっているという声をよく聞きます。
脱炭素の取り組みを始めなければいけないが、何から取り組めば良いか分からない。まずは、温室効果ガスの算定から着手しようとしたが、確認や算出作業の手間がある。それでも、時間や人数で担保しようとして、負荷が高いことや人依存の運用になってしまっている、といった慢性的な課題です。特に、日本の企業の99.7%は中小企業です。労働集約的な働き方において、この課題は大きな生産性低下につながっています。
木村)アスエネのプロダクトはどう役立つのでしょうか。
渡瀬)本来、企業の担当者が考えるべきは、「企業のサステナビリティ」推進における本質的なCO2削減などの対策です。CO2排出量の算出はあくまで前提作業なので、そこに時間が取られるような状態は本質的ではありません。
アスゼロは「画像アップロードのような簡単な登録で、温室効果ガスやCO2排出量の見える化」をすることで、企業の担当者の算定にかかる業務工数を大幅に削減できます。可視化で見えた課題に、「最適な打ち手」の実現に注力出来る環境を作ることができます。
木村)それは、企業のサステナビリティ推進に価値がありますね。
渡瀬)そうですね。ただ、一方で「最適な打ち手」を実現することが企業の成功体験であるべきですが、その真のニーズには応えられていません。
アスエネはCO2フリーのクリーン電力「アスエネ」や、世界を代表する気候変動関連の開示組織CDPのスコアリングパートナーとしてノウハウがあり、唯一無二の価値提供ができる立場ですが、まだまだやるべきテーマが多く存在します。
木村)課題が多いとなると、ハードルが高そうですね。
渡瀬)いえ。そこは、CPOとしての私からすると「課題だらけ」だということは、技術で解決する余白がまだまだあるということなので、ワクワクします(笑)。産業革命と同時に生まれた環境問題を150年後の我々が世界的なテーマで、価値あるポジションを持つ。こんな面白いタイミングは他にはないので、「その真のニーズを応えてやろうじゃないか」とやりがいを感じます。
「イケてるプロダクト」で、構造を根本から変える
木村)たしかに、やりがいを感じられそうですね。そんな中で、どのような業務をやっているのでしょうか?
渡瀬)アスエネ/アスゼロのプロダクト統括であるCPOをしています。
ミッションは大きくは2つあって、1つはプロダクトの開発推進です。プロダクト戦略の立案や優先度に応じた機能の定義・仕様整理し、エンジニアチームへ連携、リリースまでの責任を負っています。加えて、プロダクト開発に閉じない大きなテーマの意思決定をしたり、組織を超えた方針を打ち出したりする役割を担っています。
もう1つは、プロダクト開発の組織運営です。エンジニア、デザイナー、Webマーケターなども含めて、飛躍的な成長を目指すための最適な体制・運営を考え、組織体制を整備しています。全員が集中して業務に向き合えるように、取り組んでいますね。
木村)前職で得たスキルを、アスエネでどのように活かしていますか?
渡瀬)前職で新規事業を創り、プロダクト開発・マーケティング・営業など一通り組織運営に必要なことを体験してきたので、複眼的な視点を持って取り組める点は活かされています。機能要求に対し、どう作ると無駄なく、後続(たとえばCS)でクリティカルな問題を起こさずに推進できるか、といった目線はSaaS事業の立ち上げ経験や複数プロダクトを見たからこそだと思います。
その上で、自分は「イケてるプロダクト」へのこだわりは、強いと思います。
木村)面白いですね。「イケてるプロダクト」とはどのようなことでしょうか?
渡瀬)簡単な言葉になってしまいますが「考えさせないで、気持ち良さを感じるプロダクト」です。
先ほどの「脱炭素へ取り組みや可視化に負荷が高い」ことも、「当事者たちが当たり前だと感じている環境」をリプレイスできるような成功体験を提供する「イケてるプロダクト」がまだまだ少ないから、です。
現場では、普通にSNSを活用し、オンライン会議を通して商談やオンボードを進めています。大きな課題はそこにはありません。現場へのITへの拒否反応で、導入が進まないわけではありません。
木村)そこはどのように乗り越えるものなのでしょうか?
渡瀬)顧客の成功のためには、現場の業務を解像度高く捉え、潜在的な課題に対し、ファーストユーザーの声をしっかりプロダクトに反映することが必要だと思っています。
前職の「Airウェイト」で、施設の受付に関わる負の解消をし、メガバンクや日本を代表する外食チェーンから、街中の医療施設まで広げられたのは、顧客視点でプロダクト開発を進めてきたからこそだと思っています。
プロダクトを介して、課題に向き合う。それをやり切ることで、サステナビリティに関わる構造の根本を変えられると思うんです。
産業変化の中心で、経験と成長を実現するアスエネの環境
木村)渡瀬さんが思うアスエネの特徴はどのようなものでしょうか?
渡瀬)「成熟した大人のスタートアップ」ですね。プロフェッショナル意識と、特化した強みやこだわりを持った人がすごく多いので、尊敬できる点がすごく多いです。エクセレントな人たちが、知見やノウハウを持ち寄り、建設的な議論ができるところがアスエネの特徴であり魅力ですね。
木村)尊敬・リスペクトできる人が多いのはすばらしいですね。開発本部目線では、どんな人と仕事をしていきたいですか?
渡瀬)みんな、オープンで優しい印象があります。役職や立場によらず、「このデータの持ち方は速度を下げる可能性がある」や「このUI思想だと混乱が生まれるんじゃないか」みたいなことをフラットな立場でみんな議論できます。優しくフラットだけど、ちゃんと意見を持って話す環境なので、それに共感できる人だと嬉しいですね。
木村)組織運営で、渡瀬さんが大事にしたい軸はありますか?
渡瀬)「スピードを実現する仕組み化」と「コミュニケーション」です。逆説的な話になりますが、プロダクトがシステム開発の結果である限り「機能的な差別化は不可能」であり、可能なのは「開発完了するまでの時間的な差別化」だと思っています。その時間的な差別化を実現するために、スピードを重視し、仕組み化で実現していきます。
もちろん、不確実なテーマも存在します。これに対しては、意思決定速度を上げるために、世界的なマクロの流れと顧客の声としてのミクロを両軸で持つように意識していますね。メンバー全員が持つべき観点ですし、情報の透明性をあげ、組織を超えたコミュニケーションを行っています。顧客の声からビジネス数字まで語れるエンジニアがいるのは、アスエネならではだと思います。
木村)エンジニアリング組織で顧客の声や数字が分かるのは経験になりますね。
渡瀬)はい。経験や変化を楽しんで、成長意欲がある人には魅力的な環境だと思います。
技術的な面だけ切り取っても、画像読み取りのAI技術、電力事業で活用しているブロックチェーンなど最先端の技術やチャレンジも多いです。ブロックチェーンはビジネス活用した特許もあるので、学びが大きいと思います。
木村)興味を持った方やWantedly読者のみなさんに一言お願いします!
渡瀬)全産業が関わるど真ん中のテーマで、私たちは顧客に価値あるものをスピードを持って作り上げていく必要があります。新しい事業ドメインだからこそ、開発に閉じない知識や顧客目線も取り込んで、品質高くプロダクト開発を実現していきたいと思っています。
そのためにも、周囲とのコミュニケーションを大事にして、チーム全体がリスペクトしあい、闊達で健全な議論こそが、アスエネの成長の源泉です。
本気で世界を変えるプロダクトに関わりたい方は、ぜひお声掛けください。