もちろん知識と経験があれば、資格に頼る必要はありませんが、知識と経験があればサクッと取れるのも事実なので、自らのスキルの証明として取っておくに越したことはないでしょう。
ポイントは「 プロトコル 」です。プロトコルとは取り決め、通信規約、要するにコミュニケーションの約束ごとみたいなものです。余談ですが、ミッション・インポッシブルの副題「ゴースト・プロトコル」などで使われている言葉と同義です。
簿記3級 アカウンティング、企業会計の知識です。CxO、事業統括者、プロダクトマネージャー、PMの皆さんには必須の知識です。事業の計画や実績の収支はPL(損益計算書; Profit and Loss Statement)という プロトコル を通じてコミュニケーションが交わされます。ゆえに、この基礎知識が無いと話がかみ合いません。
そして、これは意外だと思われるかもしれませんが、一般企業の事業部出身者、財務会計部門以外のコーポレート出身者に、この分野の知識を持ち合わせていないことがしばしばあります。
スタートアップでは、何か単一の専業を淡々とこなすことはほとんどなく、事業を横断的に駆け巡ることがしばしばあり、行動原理として必要となるのは「いくら使って、いくら稼いだか」です。事業として、プロジェクトとして、個々の日々のタスクひとつとっても、ROI(投資利益率)を意識して判断を下すことが必要で、それをキッチリ説明できることが評価に繋がります。
営業「プレスリリース打っときました。おつかれさまでーす」
よりも、
「プレスリリース打っておきました。一本3万円ですが、このプレスを見てxx件問い合わせが来ると想定した場合、うちのファネルで考えるとxx件成約できるので年末には投資額のざっくり30倍の価値が見込めます肉おごってください」
とROIのストーリーを語られたCMO(最高マーケティング責任者)は、「こいつ、出来るな・・」と考えて「よしよし肉でも何でもおごっちゃる」と、IPO後の組織拡充を見据えて自分のセクションに引き込もうとするでしょう。
セールスでやれることをやって、次のキャリアに進みたかったあなたはキャリアを跳ね上げるチャンスです。そもそも一般企業ではプレスリリースをセールス自ら発行する機会がそもそもないので、そういう意味ではチャンスがゴロゴロ転がっているのがスタートアップの良さですね。
簿記はかなりの頻度で開催されており、お住いの近くで受けられると思いますので、ぜひトライしてみてください。
PMP(Project Management Professional) 次にPMPです。こちらは世界最高峰のベストプラクティスが詰め込まれたPMBOKという知識体系をベースにした米国の資格です。
最近ではクライアントのみならず、パートナー企業でもPMBOKベースでマネジメントを進める企業が多く、社内はもちろんこちらもプロジェクトマネジメントにおける共通の プロトコル になりつつあります。
プロジェクトマネジメントというと、建築やITのプロジェクト単体を思い浮かべる方が多いと思いますが、「事業戦略」「販売戦略」「資本政策」これらはそれぞれプロジェクトですので、経営者、特にCOOをはじめとする戦略策定者にはなくてはならない知識と経験です。
日本における偉大なる経営者の皆さんたちも、その思考を深堀していけば、必ずこの体系と近似に収まるのでは、と私は思っています。
そして、これが上位層の共通 プロトコル になっているということは、そこで活躍するのには同じ プロトコル で効率よく話すのが最も近道です。
「この案件は、○○がリスクだと考えられます。そのため、このリスクを△△してマネジメントし、転嫁を図るのがベストだと思います(リスクマネジメント)」
とか、
「A社との折衝で大きな影響力のあるのはB氏であるため、XXXという流れで積極的な参加を促します(ステークホルダーマネジメント)」
というセリフが出てくると、経営会議でしか出てこない言葉で突然しゃべりかけられたスタートアップ経営者たちは「オマエ、何者やねん」と思うでしょうね。
さあ、GWはこのあたりの知識を身に着けて、GW明けにスタートアップ経営者どもをビビらせていきましょう!どんどん出世してください。
そのスタートアップ 、CxOがガラガラの空位だぞ!!
それではまた。
以上、海に行きたいスタートアップ経営者からお伝えしました。
豆知識:ところで、「テレワーク」のテレは、テレビでもテレフォンでもなく"Telepathy"、テレパシーのテレだそうです。
ほんまかいな。
なお、以下noteで毎週コンテンツをアップしていますので、フォローしておいて頂けますと、必ず皆さんのスタートアップに対する解像度を高めるのに、お役に立てると存じます。