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32歳テックリードが挑む朝日新聞社の開発組織作り ゲーム業界からの転職、きっかけはNetflixのドキュメンタリー

DeNAの全社の技術支援をするSWETチームから朝日新聞社へ転職してきた金子淳貴さん(32)。現在はテックリードとして、朝日新聞デジタル全体の技術戦略や開発基盤作りに取り組んでいます。「組織がごちゃごちゃになると、システムもごちゃごちゃになる」と感じて、単なる技術まわりだけでなく、ビジネスの成長を見据えた組織作りとシステム設計に取り組む金子さん。その広い視座はどんな経験から生まれたのか、そして、朝日新聞社に入ることを決めた理由は何だったのでしょうか?

-現在、朝日新聞デジタルでどんな仕事をしていますか?

朝日新聞デジタルのテックリードとして、主にバックエンドとインフラの技術戦略を考えたり、全体の技術的なサポートをしたりしています。また、2021年にはサービス品質の向上と高速PDCAの実現を目指す新しいチームを立ち上げました。

サービスを一気に拡大するフェーズでプラットフォームが乱立し、開発がスケールしなくなっていく例は色々な会社で見られますが、開発内製化を始めて約2年の朝日新聞デジタルもちょうど同じ状態になりかけていました。なので、機能やミッションごとにチームがスケールして開発できる基盤を作る構想を立てて、組織作りとシステム設計を進めています。

-いま技術的に挑戦していることはありますか?

いまはAWS App Meshを使ったマイクロサービス化に取り組んでいます。また、MLOps を使って構築したモデルをマイクロサービスとしてデプロイできるようにすることによって、お客さま一人ひとりに対して適したコンテンツを提供できるようにすることを目指していますね。

-金子さんの仕事をみていると、プログラミングだけでなく、組織の仕組み作りというところから開発をメタ化してとらえているように思います。なぜそういう発想に至ったんですか?

前職のDeNAのSWETチームは、全社のサービス品質の改善がミッションだったのですが、サービス改善をつきつめていくと、結局、組織課題を解決しないとプロダクトもよくならないということを実感したんです。バグの分析をしていくと、行き着くところはコミュニケーションのミスだったり仕様の考慮漏れだったりして。そういうところを防ぐにはどうしたらいいのかということを考え続けると、組織として仕組み化していくしかないと思い至りました。なので、組織作りからエンジニアリングに関われる、今の朝日の環境はとても面白いです。

―今までの経歴、仕事はどんなものでしたか?

自作PCが趣味だった父の影響で、子供の頃からプログラミングやネットで遊んでいました。その流れで自然に情報系の大学に進み、そこからずっとソフトウェアエンジニアとして働いています。前職はDeNAのSWETチームで全社の技術支援やテスト自動化などの開発改善活動を行っていました。自分でプロダクトを持つというよりもスポットで開発の支援に入ることが多かったので、そのうち、やはり自分でプロダクトに関わりたいという気持ちが出てきました。

社会に貢献できるサービスを持つ事業会社へ行きたいと思い、その観点からエネルギー系の会社も視野に入れていましたが、ちょうどその頃にNetflixのドキュメンタリー「グレートハック」や「監視資本主義」を見たんです。

この2つの映画は、SNS上の個人情報を駆使した情報提供が可能になったネット社会の危険性とか、インターネット上での真の情報とは何かということについて、問題提起しています。ざっくり言うと、世の中には意図的にフェイクニュース的な動画を繰り返し特定の集団の人に見せて、世論や選挙結果をコントロールしていくことを仕事にしている会社があるよ、っていう告発の映画なんですけど…。自分はITの仕事をしていて、正しい情報がネット上に流通していることはすごく重要なことだと感じているので、自分の培ってきた技術で日本のネット上の情報流通や透明性に貢献できればと思い、メディア企業に行きたいと思うようになりました。

-その中でも「朝日に決めよう」と思ったきっかけはありますか?

カジュアル面談や面接で対応してくれたエンジニアマネージャーに「こういう組織でこういうビジネスをやりたい」という明確なビジョンがあったところに惹かれました。内製化やマイクロサービス化自体に取り組んでいる会社は他にもたくさんあるのですが、それを組織作りやシステム設計にとどまらず、ビジネスにまでつなげていこうという構想が伝わってきたのが朝日新聞社でした。自分と近いマインドを持っている人がいると感じたので、この会社に入ったら楽しそうとイメージできました。21年4月に入社しました。



-入社して実際に働いてみて、考えていたこととのギャップを感じることはありますか?

プラスの面でのギャップは、開発プロセスやアジャイル開発が想像以上にしっかりしている点です。開発プロセスについては、スプリントの定義や、アジャイル開発のやり方などがチーム間で統一されていて、テック企業と比べても根付いている方だと思います。

一方で、現在の朝日新聞デジタルは、やはりまだ組織的、システム的に大きく変化している過渡期だと感じます。「コンウェイの法則」で言われるように、組織とシステムは密接に関連していて、組織がごちゃごちゃしているとシステムもごちゃごちゃになる。内製化を始めてまだ約2年の段階で、組織作りからちゃんとしていかないといけないフェーズです。エンジニアとして、組織作りとかそういうことを含めて関わっていきたいという方には、とても面白いフェーズだと思います。

-メディア企業の中でも、朝日新聞社の強みとそこで働くやりがいはなんでしょうか?

多くの新しいメディアと新聞社の大きな違いは、自社で「一次情報」を作り出せる点だと思います。コンテンツを作り出すノウハウ、スキルを既に持っていることは、大きなアドバンテージで企業としての強みです。

また、昔からある会社だからこそ、朝日新聞社内には、デジタル事業化できていないところがまだまだあります。ビジネスチャンスが社内にいっぱい転がっているということです。こういうチャンスを拾ってきて、どうやってビジネスにしていこうと考えて開発の手を動かせる環境であるというのが、働いていてわくわくすることの一つですね。

-最後に、どんなエンジニアに来てほしいか、聞かせてください。

純粋にエンジニアの仕事をするだけでなく、一緒に、ビジネスチャンスを拾って考えていける人と仕事がしたいです。目指すビジネスの形を見据えて、じゃあどうしたらいいのかという視点で考えられること、それをもとにすぐ手を動かして技術の力で形にしていける人が仲間に欲しい。走りながら考える、ビジネスをともに作り上げてくれるエンジニアの方、あとPMやデザイナーの方にも、もっともっと来てほしいと思っています!

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