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イノベーション組織研究: 組織化の必要性と成功要因

イノベーション創出のための取り組み

近年、多くの大企業の成長速度が鈍化しており、新たな提供価値の源泉となるような、イノベーション創出、新規事業創出が非常に重要な課題となっています。

一方、イノベーションや新規事業を自社リソースだけで生み出すことには限界もあり、他社やアカデミア、スタートアップとの協業が必要という認識も、徐々に共通認識になってきています。

オープンイノベーションの取り組みも広がってきており、ハッカソン、アクセラレータープログラム、コワーキングスペース、CVC、業務提携、M&Aなど各フェーズで多様な取り組みがなされています。東大本郷テックガレージの馬田氏によると、オープンイノベーションに関する日本企業の取り組みは下図のように整理することができます。

このように、イノベーション創出のための取り組みは、さまざま行われているものの、国内で大きな成功事例というのはあまり多くありません。それでは、日本の大企業に足りていないものは何なのでしょうか?


イノベーション組織の必要性

近年、イノベーションの源泉を外部に求めることの重要性は多くの企業で認識されています。あれだけ優秀な開発チームを抱えるGoogleでさえAndroidもYoutubeも外部から獲得していることを考えても、外部連携の重要性は明らかです。

また、このような外部連携を含むイノベーション創出を個人の努力のみでなんとかするのはかなり難しいことだと言え、イノベーション創出に取り組む組織が必要になると考えられます。

ただし、「イノベーション創出組織」というお題目だけを掲げて組織を立ち上げても、必要な機能/マネジメントモデルが揃っていなければ、望むような効果は見られないと予想されます。

それではどのような組織機能・マネジメントモデルがうまくいくイノベーション組織には求められるのでしょうか?


ベンチマーク調査による成功要因分析

本連載では、「成功するイノベーション創出組織にはどのような組織要件、機能が求められるのか」という問いに対して、海外の先進企業の事例をベンチマーク調査することで明らかにしていきたいと考えています。今後、不定期ではありますが連載形式でレポートを発信していきます。

先進企業のイノベーション組織の概要を整理するだけでなく、私たちの視点でイノベーション組織を分類、その特徴を抽出していく予定です。

イノベーション組織の整理軸

世界的な大企業ではイノベーション組織を立ち上げている企業も多いですが、大きく内部創出(クローズ)/外部連携(オープン)、既存事業のドメインと近い/遠いという軸でマッピングすることができます。

また、イノベーション、新規事業創出のプロセスの中でどこに特徴を持っている組織なのかという切り口でも整理することができます。

下図ではデザイン思考、SPRINT、リーンスタートアップなど新しいアイディアを生み出し実装する手法を参考に、共通するプロセスを整理、DIPTGというプロセスを定義しました。

Define(問題定義)、Ideate(創造)、Prototype(プロトタイプ)、Test(検証)、Growthのサイクルを回すことでイノベーション、新規事業を生み出すサイクルを示しています。

今後のベンチマークでは上記の二つの切り口で各組織の特徴を分析していきます。まず初回はGoogle社のイノベーション組織「Google X」についてレポートします。


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