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近年、利用者が急増しているeギフト。相手の住所がわからなくても商品を送れるため、プレゼントするハードルが大きく下がりました。加えて、コロナ禍で拡大しているEC市場の成長を、さらに後押しするサービスとしても期待を集めています。
一方で、多くのブランドがeギフトの価値に気づき始めてはいるものの、自社のサービスとして取り入れるには簡単ではありません。そんな企業に向けて私達が提供しているのが、タグを一行だけ入れるだけでeギフトを実現できる「AnyGift」。
簡単にeギフトを実現できるだけでなく、カタログギフトを作ったり、受け取った相手に向けたマーケティングをしたりなど、企業の取り組みの幅を大きく広げられます。本格的なマーケティングコストの投下前でありながら、多くの企業から問い合わせや紹介があり、既に500社もの企業が利用するほど。
今回は代表の中島 功之祐にサービスの特徴やeギフトの可能性について話を聞きました。
メルカリでの経験からeギフトの可能性に着目
―まずは起業した経緯を聞かせてください。
起業したきっかけは、新卒で入社したメルカリでプロダクトオーナーをさせてもらったことです。どんなサービスを作るか決めて、周りを巻き込み、目標を達成していく過程がとても面白くて。自分の役割に関係なく、目的を達成するために何でもしていたのですが、もっと上流を経験したいと思った時に考えたのが起業でした。
メルカリで新規事業を立ち上げる選択肢もあったのですが、メルカリは1つのプロダクトしか持っていないので、できることも限られていて。自分の作りたいサービスを作るには独立してゼロから立ち上げるしかないと想ったのです。
―メルカリを退職して、すぐに起業したのでしょうか。
いえ、退職してから別のスタートアップに転職しました。メルカリではプロダクトオーナーをしていましたが、本当にゼロから事業を立ち上げられるか不安だったので。まずは10人くらいのスタートアップで自分の力を試したいと思ったのです。
しかし、半年も働いてみると会社員として働いているのがもどかしくなって。働きながら起業準備を始め、2021年にAnyReachをスタートさせました。
―なぜeギフト領域で起業したのか教えてください。
きっかけはメルカリで働いていた時の経験です。メルカリで企画職になった時に、企画の参考にするためにいろんなECで商品を買っていた時期があって。欲しくもないものも買っていたのですが、いざ商品が届くと期待以上の商品もけっこうあったのです。
その経験から「欲しいと思っていなくても、なにかの拍子で手元に届いたら、予想外にファンになって継続的に購入することもある」ことに気づきました。そんな機会を再現するために考え、行き着いたのがeギフトです。人からもらったものは印象もよく、継続購入にも繋がりやすく、顧客となりうるブランドにとっても大きなビジネスチャンスになると思いました。
―たしかに人からもらったものを自分でも買った経験がある人は多そうですね。そこからどのように今のビジネスモデルを構築したのでしょうか。
ビジネスモデルを考える時に意識したのは「マーケティングコストを抑えること」です。メルカリでの経験から、年々上がっているマーケティングコストに課題を感じていたため、起業するならマーケティングコストを抑えられ、ネットワーク効果が発揮できるモデルにしたいと思っていて。
そこで参考にしたのが、あと払いサービスのPaidyです。多くの企業がPaidyを利用しており、そのサイトにはPaidyのロゴが掲載されています。そのサイトを見た別の企業もPaidyを認知するため、顧客が顧客を呼ぶ構造になっていたのです。
ECサイトに導入してもらい、自分たちのサービスを宣伝してもらえれば、マーケティングコストを抑えられると思い、今のビジネスモデルに行き着きました。
PMF前でありながら広告費ゼロで500社を集客
―改めてビジネスモデルについて教えてください。
私達のサービスは、ECサイトにタグを一行入れるだけeギフトが可能になるサービスです。ユーザーはサイトから発行されたURLをギフトを送りたい人に共有し、ギフトを受け取る人が自分で住所を入力します。これにより住所を知らない相手にもギフトを送れるようになります。
またカタログギフトも作成できるため「このブランドの商品を送りたいけど、どの商品にすればいいか選べない」というユーザーも獲得できるようになります。収益モデルは月額基本料と売れた時の手数料です。そのため導入企業を増やすのに加え、クライアントのギフト売上を伸ばすのも重要になります。
―現在の事業フェーズについても聞かせてください。
現在はPMFに向けてサービスをブラッシュアップしているフェーズで、この1年で500社を超える企業に導入してもらっています。お問い合わせや顧客からの紹介のみで、広告費を1円も使わずに集客できたので手応えを感じています。
しかし一方で、人的リソースが不足しているのが課題です。サポートすることで売上拡大を期待できる企業に対してサポートができていない。今後は組織を拡充し、導入企業を増やすとともに、カスタマーサクセスにも力を入れなければいけません。
―クライアントに対してどのようなサポートをしているのでしょうか?
たとえば商品を送られた相手へのフォローです。私たちは商品を送られた人のデータを溜めているので、メールなどでフォローすることで継続購入を促せます。どういうタイミングでどういうフォローをすればいいのか、データを溜めながら精度も上げられるのです。
商品によっては、ギフトでもらい嬉しかったものを別の方へのギフトとして送ることもあります。出産祝いでもらったベビー用品が便利だったから、別の人の出産祝いにあげるような。そのようなネットワーク効果も作っていきたいですね。
「使いやすさと開発スピード」成長市場における勝ち筋
―eギフト市場の市況をどのように捉えているか聞かせてください。
これから確実に市場が拡大していくと想っています。今でもECで商品を買ってから配送したり、わざわざ住所を聞いて送っている人たちがいますよね。それらが全てeギフトに置き換わるはずです。加えて、日本のEC化率はまだ10%にも達しておらず、まだまだ伸びしろがあります。EC市場の拡大に伴って、eギフトの市場も拡大していくでしょう。
また、今後メタバース普及すれば、名前も住所も知らない知り合いが増えていきますよね。そのような相手にもeギフトなら簡単に贈り物ができるので、ニーズにマッチするはずです。実際にVTuber同士で送り合っているケースもあるので、今後はそのような場面も増えていくと思います。
―市場が拡大していくとなれば、今後も競合が増えていくと思いますが、どこに優位性を見出しているか教えてください。
圧倒的な使いやすさです。たしかにeギフト市場は参入企業が増えていますが、それでもプロダクトの使いやすさから私達のサービスが選ばれています。企業にも消費者にも使いやすいプロダクトにこだわっているからこそ、クライアントに評価されているのです。
加えて、開発スピードにも非常にこだわっています。サービスの特性上、一度サービスを導入するとリプレイスされにくいため、ここからの1年でどれだけ自分たちのポジションを確立できるかが勝負です。
―どうやって開発スピードを上げているのでしょうか。
クライアントの声を聞きながら、必要不可欠な機能に絞って開発することです。私達のサービスは機能が多岐に渡る上に、それぞれが複雑に連携しているため、開発工数が非常に多くなります。それをいかに無駄なく、クライアントの要望に応えられるかが鍵になります。
そのためには、クライアントのニーズを的確に把握しなければならず、プロダクトオーナーとしての手腕が求められます。
―既に勝ち筋は見えているのですね。
勝ち筋は考えていますが、実はあまり競合と戦う意識は持っていません。なぜならeギフト市場はまだまだ黎明期で、EC市場の2-3%ほどしかありません。そんな小さな市場を取り合うよりも、みんなで残りの97%の市場に広げにいった方がいいと思っていて。
そのため競合からのリプレイスを考えるよりも、競合サービスがカバーしきれていない市場を私達が補完することで、市場全体を拡張していきたいと思っています。
自ら事業を作り、新しい市場を開拓していきたい人を募集中
―組織を拡大していくにあたって、どのようなメンバーならマッチすると思いますか。
自分で事業を作っていくマインドのある人です。私達のサービスは、いくらでも発展させるアイディアが思いつくのですが、それを実現するだけのリソースが足りません。自分で周りを巻き込んでアイディアを形にしていきたいと思っている人はマッチすると思います。
また、自分の役割に壁を作らない人もマッチすると思います。事業を作っていくには様々なタスクが発生しますが「エンジニアだから」「マーケターだから」と自分の仕事に壁を作っていては事業は進みません。自分の役割をコロコロと変えながら事業を進めていける人、もしくはそうなりたい人と働きたいです。
―AnyReachで働くやりがいについても聞かせてください。
一つは新しい価値を産み出していけること。eギフトという新しい市場を自分たちで開拓し、新しい価値や幸せを作っていく実感を持って働けるのは大きなやりがいだと思います。ギフトという特性上、人が人を想って使うサービスなので、その使い方を見ていると幸せを産み出しているのも実感しやすいですね。
もう一つはスタートアップのグロースフェーズを経験できること。資金調達も済み、これから集中して成長施策を打ち出していくタイミングなので、最も成長を感じられるフェーズだと思います。成長率の割に組織が未成熟で、最もチャレンジのしやすいフェーズでもあるので、自分の力を試したい人にはぜひチャレンジしてほしいですね。
―最後にAnyReach興味を持った方へのメッセージをお願いします。
メンバーには自分がやりたいことに極力チャレンジしてほしいと想っています。プロダクトマネージャーになりたい人には私の仕事をどんどん渡して経験を積んでもらいますし、他のチャレンジしたいことがあれば全力で応援します。
また、規模の小さな会社だからこそ、自分の仕事が大きな影響を与えるのもやりがいになるはずです。大企業では多少成果を出しても会社の成長にさほど影響はありませんが、私達の会社なら一人ひとりの成果が会社に大きな影響を及ぼします。自分で会社を成長させる実感を得ながら働きたい人はぜひ話を聞きに来てください。