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【こじトーク】第1回 ゲスト 後藤和貴 氏・中編

「こじトーク」は株式会社オルターブース代表取締役の小島淳が、IT業界で活躍する様々なゲストの方々と様々なテーマを通じて語り合うオルタナティブな企画です。

記念すべき第1回目のゲストは株式会社アイレット 執行役員/エバンジェリストの後藤和貴氏です。

後藤氏のこれまでの歩みを、日本のIT業界の流れとともに振り返ります。


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◯アイレット入社

後藤   いざお客さんのところに説明にいくと、

     「我々はクラウドですら扱えないのに、それを取りまとめるツールとか触りたくない」

     って言われちゃって。

     そこでツールやサードパーティーを諦めて、案件ベースで実際にクラウドを使った事例を

     日本で作ることに切り替えました。

     当時、サッカーと飲み会だけで繋がっていたアイレットさんと一緒に。



小島   サッカーと飲み会だけでアイレットさんと繋がってたんですか?


後藤   そうなんです。デザイン会社を卒業してフリーランスやってた時に、

     デザイナーたちがお友達を作りなさい、ということで誘ってくれたデザイン界隈の

     フットサルグループがあって、そこに行ったら、

     デザイナーじゃない界隈の人たちがアイレットの人たちしかいなくて。

     で、意気投合して、サッカーやってお風呂入って、飲みに行こうよってなって。

     仕事は一緒にしてないけど仲がいい関係になってました。

     アイレットの人たちが、実は自分たちもクラウドに注目している、

     CEOもCTOも使いたい、クラウドは面白いって言ってて。

     じゃあそれを実現するのに、僕がたまたま請け負っていたパナソニックさんのヨーロッパ向け

     サイト構築をクラウドでやろうって提案したらOKってなって、これが上手く行ったんですね。



     お客さんも要件さえ合えばクラウドは恐くないし、

     構築後の運用もやる前提でアイレットさんは組んでくれていたので、

     パッケージにしたら売れるんじゃないかと考えました。

     さっきのパナソニック案件は2009年の秋くらいにリリースしました。

     ちょうど2009年12月に小島さんがAWSに着任したんですよね。

     初めて小島さんから声がかかった時に、

     アイレットCEOの齋藤将平さんはAdobeとの付き合いがそれまで長かったので、

     「あの小島さん?」みたいな感じで驚いていました。

     僕もデザイン会社にいたので、小島さんの存在は知っていたんですね。



小島   当時のアイレットって何人くらいいたんですか。


後藤   僕が初めてアイレットに出会った時がたぶん20名。2LDKにぎゅうぎゅう詰めでした(笑)


小島   ちょっとびっくり・・・その時会社はどこにあったんですか?


後藤   芝浦のアイランドタワーのところですね。普通のマンションです。


小島   マンションで頑張ってたんですね。ザ・スタートアップみたいな感じ。


後藤   そうそう。ミーティングスペースだけは綺麗だったんですよ。

     初めてミーティングした時にちらっとミーティングスペースの後ろを見たら、

     でっかい物体がたくさん並んでて。

     「あれなんですか?」って聞いたら、バッテリーだと。

     開発がWindowsでJava使ってゴリゴリやってるから、ブレーカーが落ちるらしくて。


小島   すげえ!生バッテリーだ!


後藤   それでも間に合わないってなった時に初めてデータセンターを借りて、リモートデスクトップ

     サーバで開発していました。


小島   すげえ! 


後藤   意外とゴリゴリの技術屋なんですよ。


◯クラウドの衝撃

後藤   実際にビジネスをやっていくことになり、2010年の頭から企画を進めて行って、

     最終的には多分4月ぐらいにウェブサイトをリリースして、今のクラウドパックような、

     単純に請求代行や運用保守のようなビジネスをセット販売していました。


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小島   2012年からですか?クラウドパックは。


後藤   2010年の4月から提供していますね。


小島   すげえな。よくよく考えてみれば、AWSの認知が始まったの2009年くらいなんですよね。


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後藤   そうですね。


小島   僕もその時初めてAWSを知りました。

     ホスティング会社で仕事していたので、ホスティングとの比較をずっとしてたわけですよ。

     でもホスティングとは全然違うところに衝撃を受けましたね。

     再起動したら全部なくなるとか、すげえなって。


後藤   アイレットでは過去にお客さんのサーバをデータセンターで扱うケースもありました。

     なので夜中に呼ばれることもあったんですけど、クラウドだったら行かずに解決できるし、

     何だったら自動化できちゃうし。当時みんな衝撃的だったみたいですね。



小島   自動化せざるを得ないですよね。だってサーバー再起動したら全部消えちゃうし。

     あの時は2日に1回くらいサーバーって落ちてたから。


後藤   そうそう。


小島   そういう風にせざるを得ない。

     でもそれがダウンを許容する今のシステムの考え方に繋がっていますよね。


後藤   そうそう。すごいですよね。

     僕らは2010年にスタートして、最初はお客さん側も実はクラウドに対する認識がないので、

     僕らもどちらかというとビジネスの課題解決のケースに寄ってクラウドを説明したり、

     もしくクラウドと言わずに、

     「うちだったら1ヶ月7台までスケールして戻すのは無料でやりますよ」って説明したり。


小島   7台!?


後藤   実は最初にサーバープランって商品を出したんですね。

     AWSの従量課金制などをお客さんは理解できないので、

     運用保守が付いていますって説明しても、その価値が伝わりにくい。

     AWS料金+運用保守24時間付きの値段が月5万円のようなスタイルで出していたんですよ。

     その5万円の中に何を詰め込むか?って考えた時に、

     契約するお客さんってだいたいクラウドの素人であることが多いので、

     後で「グローバルIPがやっぱり必要でした」って言われて、

     「プラスで5000円です」みたいに追加料金出されるの嫌じゃないですか。



     だから8割のお客さんが使うものはプランに入れちゃおうってなって、

     それである程度スケールするっていうのが特徴としてはあったので、

     一部利用料金が上がっても、それでサーバが落ちないんだったら、僕らもラッキーかなと。

     自由を持たせた契約にしてたんですね。


◯クラウドがトレンドに乗ったのはつい最近

小島   2010年にクラウドパックっていうサービスをリリースしました。

     クラウドの盛り上がりとしては、爆発的にドン!といくまでに、

     もう少しタイムラグがありました。

後藤   ありましたね。僕らでいうと2014年くらいまでは少なくともクラウド黎明期というか、

     特定のお客さんしか付かなかったですね。

     最初は本当に特殊ケースで困っている人しか連絡がこない。


小島   なるほど。


後藤   2014年を越えて、2015以降はAWSなどが認知されてくると、仮想サーバやストレージとか、

     色んなことが分かってくるんですね。

     でも大企業までリーチするのにはまだまだ時間がかかって、

     本当に体感できるトレンドになったのは、たぶん4年前くらいじゃないですかね。

     実際案件で問い合わせが来るのはもうちょっと後で、3年前くらいになってからかな。


小島   今のように、インフラでクラウドを先に検討することが当たり前になったのは、

     たぶん4年ぐらい前からですかね。


後藤   それまでは、例えば僕がフリーランスやっていた時に、大企業のデータセンター更新などを

     お手伝いしていたんですよね。

     10年前だとデータセンター事業者が5社あって、

     その一社にAWSを入れさせて貰ったんですけど、色々なRFPを書く中で、

     大企業の方々の考え方は大体これまで通りとか、あとは立ち入り検査ができることとか。


小島   それマストくらいな感覚ですもんね。


後藤   ここ最近のクラウドの動きがあまりにも激しい。

     アイレットさんだと一番最初にクラウドをやったくらいのイメージがあるんですよ。


小島   でも、結構同じようなビジネスって、後からどんどん出てくるじゃないですか。

     そのビジネスの差別化はどうしてるんですか?


後藤   「開発」ですね。

     アイレットは2010年の時にウェブシステムなどの受託開発をやっていました。

     みんなで壮絶なブラック系の働き方を経験しましたね・・・。



     クラウドビジネスになってから色々変わってきました。

     データセンターの運用保守や監視だけじゃなく、開発をやってきてるので、

     クラウドに載せる部分や、アプリケーションのビジネスを理解した上で、

     運用保守までやるスタイルが入口を広め、お客さんの信頼獲得になると感じていました。

     急にクラウドの監視をやろうにもなかなか上手くいかなかったりする。

     それにどこまでコミットするのかも難しいですね。


小島   今までのビジネスをそのままクラウドに載せただけのようなサービスもありますもんね。

     それだと全然ユーザーニーズが掴めない。

     MSPという業種・業態の会社さんって、本当に千差万別なんですけど、

     クラウドを知らないでやっているところも結構ありますからね。


後藤   運用保守にもノウハウがあるので、そっちに強みがあると思ってやり始める会社も多い。

     でも、エンジニアがAWSもAzureも好きで事業をスタートするパターンも

     すごく良いなあと思ってます。(つづく)

☆本記事はオルターブースYouTubeチャンネルの配信動画をもとに再構成しています。

☆配信動画の本編をご覧になりたい方はこちらから!



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