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【電力・エネルギー特集】第1回:A.L.I.における電力・エネルギーソリューション事業の幕開け

こんにちは、A.L.I. Technologies広報の太田です。

2020年8月に強化していくことを発表した電力・エネルギーソリューション事業。
本日3月3日から開催されている第11回国際スマートグリッド EXPOに出展し、自社ソリューションの詳細を初めて発表することになりました。

そこで、電力・エネルギーソリューション事業を統括している渡慶次 道隆にインタビューを決行。立ち上げに至った経緯から具体的なソリューション内容、その先に実現したい社会について深堀りしました。全3回の連載を通して、中身の濃い内容をお届けできればと思いますのでお付き合いください!(1回に収まらなかった…汗)

それでは早速、「第1回:A.L.I.における電力・エネルギーソリューション事業の幕開け」をお送りします。


電力・エネルギーソリューション事業統括
渡慶次 道隆(とけいじ みちたか)

プロフィール:
外資系投資銀行にて債券・デリバティブ事業に携わったのち、三井物産に転職。コモディティデリバティブや、電力xICT関連の事業投資・新規事業の立ち上げに従事。欧州でのVPP実証実験のプロジェクトマネージャや、米マイクログリッド制御のスタートアップへの投資をリードした後、A.L.I.に移籍。電力トレーサビリティシステムの要件定義・開発や、国プロ向けの環境価値取引システムの構築を始めとした多くの電力関連事業を組成。東京大学工学部卒。
・Twitter https://twitter.com/mtokeiji

助手席ではなく、運転席に座りたい。その気持ちが後押しとなりA.L.I.へジョイン。

— まずA.L.I.にジョインしたきっかけはなんでしたか。

前職では、総合商社である三井物産に所属していました。そこでは、金融事業に4年半携わった後、情報産業の部署に異動しました。そこで、いわゆるベンチャー投資やテクノロジー企業との新規事業開発を4年半経験しました。その頃から、エネルギー×ITという分野で仕事をしていました。
金融の部署にいる時に、よくシンガポールに出張に行っていました。そこで出会ったのが当時同じ金融の世界にいた、現A.L.I.会長の小松です。およそ10年前の話です。

そこから友人となり、小松がA.L.I.の経営を始めて以降、よく話を聞くようになりました。ドローンやブロックチェーンのエンジニアも揃っているし、ホバーバイクの開発も始めた、やりたいことが作れる会社になってきたから一緒にやらないか、と声をかけてもらいました。ICT事業の部署では、企業に出資という面で支えるものの、プロジェクトの運転席に座るのはその技術をもった企業。一方で、商社は助手席に座る構図になります。この頃には様々な企業とパートナーシップを結んで事業を進めていくのもかなり経験しましたし、大きな看板を背負わなくてもある程度自分で出来る自信も出来ていました。自分が運転席に座ってサービスやプロダクトを世の中に広めていきたいと思うに至り、2017年の年末にジョインの決意をしました。

ちょうど同じタイミングで、三井物産で担当した最後の案件として、米国のマイクログリッド事業に投資をし、同社への出向がほぼ決まっていたのですが、それを断ってA.L.I.にジョインしました。それくらいA.L.I.でやれることに魅力を感じていました。ちなみに、代わりに駐在した後輩夫婦は米西海岸赴任が夢だったらしく、その後、めちゃくちゃ感謝されました笑

偶然入った建築学科が、電力領域で勝負する将来への礎に。

— 大きな決断をされてジョインされたのですね。
渡慶次さんの人生の中で、電力・エネルギーとの出会いはどこにありましたか。

大学時代は建築学科で建築熱環境の研究室に入りました。建築性能と熱環境の関係性を研究していました。でもこれはたまたまです(笑)ラグビー部に所属して週6日部活をしていたので、研究室の選択肢はあまり多くなかったんです。唯一、体育会系出身の教授が率いている研究室を選びました(笑)

大学で熱環境を学び、社会人最初のキャリアは金融、その後商社でエネルギーに絡みました。今盛んになっているESG投資(金融)とエネルギー、ITなどが掛け合わさって、自分の専門分野が自然に形成されました。建築学科に入ったことは偶然でしたが、その後のキャリアを積む中で、単純に好きな分野にビジネスマンとしての強みが加わったということです。

— なるほど。ではいつから環境問題に興味をお持ちだったんですか。

私は横浜市に生まれ育ったのですが、京急線の線路裏の草むらでひたすら虫を取っていましたね。外で遊ぶのが大好きで、一番好きな科目も理科。自然が好きだったから、家庭科でごみの分別を学んでからは、きちんと分別に取り組むような子供でしたちょうど地球温暖化が叫ばれるようになった時期でもあり、子供ながらに危機感を覚えていましたね。そんな自分だったので、大学でも建築熱環境に関しては前向きに学んでいました。

— 好きなことを選ぶうちに偶然が重なって、今の知見や経験が積みあがったんですね。

環境問題というのは、ひとりひとりが少しずつ貢献しないといけないんです。ひとりぐらいさぼっても結果は変わらないのですが、全員がさぼるとたいへんなことになってしまう。そういったことをどうやって解決していくかに、今とても興味があります。


世の中の意識を変え始めた、菅首相の「脱炭素化」宣言。見えたのは企業の環境意識を変える必要性。

— では現在の話に戻します。
A.L.I.にジョインされてから、本格的に電力事業を始めるまでにどのような検討や調査を経てきたのでしょうか。また昨年事業立ち上げを発表するのは計画通りだったのでしょうか。

A.L.I.はドローンやエアモビリティという自社プロダクトを持っている会社ですが、一方では、並行して技術コンサルタントや受託開発を請け負っていました。その中で電力・エネルギー関連の案件を受託していくうちに、チーム内にも自然と知見が蓄積されていました。そこにESG投資やSDGsといった世の中の流れが相まって、今なら電力・エネルギー分野で事業を立ち上げられるのではないかと可能性を感じました。そこから準備を始めて2020年夏に、エネルギーソリューション事業を強化していくことを発表するに至りました。

※関連リリース:A.L.I.グループの電力ソリューション事業を強化

その直後の10月に菅首相が「2050年までの脱炭素化」を宣言しました。これはトレンドの波にもうまく乗れたと思っています。
実際、電力ソリューション事業立ち上げのコンサルティングや受託を請け負っていた企業ともうまくパートナーシップを組み、新しいサービスを作るところまで来ました。

— では、それらのサービスは、具体的にどのような課題解決に着目したものでしょうか。

今回、エネルギーソリューションとして新たにブランディングし、発表するサービス内容は、多くの顧客ヒアリングを重ねた結果、上記のリリース時に検討していた環境価値取引から、CO2排出量の可視化に軸足を移しています。

企業がまず必要としているのは、自社のCO2排出量と削減目標に基づく取り組みを、世の中に開示する方法であることに着目しました。企業の統合報告書には、財務諸表には含まれない企業活動の内容が開示されており、CO2排出量や削減目標などが発表されています。統合報告書の開示はマストではないものの、ESG投資を行う金融機関向けに、専門機関の調査が入り、CO2排出量も評価項目に含まれています。今や、特に上場企業にとって環境関連情報は、開示しないことがデメリットでしかない時代になっています。また、最近ではESG投資をしたい地域金融機関銀行からも引き合いが来ています。地方に拠点を持つ企業の多くは、CO2排出量の管理に着手できていないからです。それに「2050年二酸化炭素排出実質ゼロ表明」をしている自治体も、まだ自分の地域の排出量を正確に把握できていないと聞きます。そういったことから、ここにはビジネスチャンスがあると思いました。GHGプロトコルという国際基準に則ったCO2排出量の複雑な計算・算出と可視化ができる、そしてそれを安価なSaaSで提供できれば、企業の課題解決にも応えられ、ひいては国全体の脱炭素化にも貢献できるのではないかと思いました。可視化したデータはレポーティング機能も付けて、企業のホームページ等で公表できる形でのアウトプットを実装する予定です。

このサービスはCO2排出量の算出・可視化ができるプラットフォーム「zeroboard(ゼロボード)」として今後正式なローンチをします。正確に言うと、可視化するだけでなく、削減実績管理、レポーティング、最終的にはどうしても削減できなかった排出量についてカーボン・オフセット(環境価値取引)(※)までできるプラットフォームです。企業は例えば「2030年までにどのぐらいCO2排出量を削減するか」という目標を立て、その実績を公表していく必要があると考えます。日本の会社は完璧でないと(排出量が削減できていないと)、情報を開示することに消極的ですが、たとえ現状ではそんなに削減できていなくても、まずは取り組んでいること、それを公表することがCO2排出量削減における意識改革の第一歩だと私は考えています。

— 企業は仕入れ先企業もしくは仕入れる材料のCO2排出量までも考慮していくことになるのでしょうね。となると、確かに企業は自社のCO2排出量の把握が必須になりますね。

そうです。CO2排出量は企業の調達先を決めるひとつの判断材料になっていくのです。

いかに消費者を巻き込むかが脱炭素化推進のカギを握る。

— そんな時代になってきたんですね。
次に事業の話を聞かせてください。この事業を立ち上げるまでに、どのような苦労がありましたか。

まだ完全に事業として立ち上がってはいるわけではないのですが(笑)
まずは世の中に無いサービスなので、企業に理解していただくのに苦労しています。当然企業側は新しい取り組みのコストに懸念を示しますので、ゆくゆくはベネフィットがコストを超える必要があります。そのベネフィットとは、企業が環境に対する取り組みをブランディングに変えて、消費者を巻き込んだサービスを展開することで、該当領域での“第一想起”を獲得することです。そのように説得して回っています。企業自身のビジョンとマッチし、さらにはサプライチェーン全体のサステナビリティも意識した取り組みによって、その領域で“選ばれる企業”となる必要があるのです。

— ここまで来るのも大変でしたね。
これからこの事業を完全に立ち上げて確立していかなければなりません。そのチーム作りはどのようにされていますか。

事業開発のメンバーはそれぞれ前職で電力・エネルギー事業に関わってきたことはあるものの別の畑からジョンしてきたメンバーです。お互いの得意にプラスアルファし、苦手を補うようなチームの雰囲気が出来ています。
今後どんな方がジョインしようとも、テクノロジーの力で脱炭素社会を実現するというミッションのために、個々の強みを活かした組織づくりをしていきたいと思っています。


▲電力・エネルギーソリューションチームのメンバー(写真左から、坂本、蓑田、渡慶次、本間、野底)

— 私から見ても電力ソリューションはとても結束力のあるチームに見えていますよ(*‘∀‘)
最後に渡慶次さんご自身の理念を聞かせていただけますか。

環境ビジネスが儲からないという定説を変えたいですね。今回の脱炭素へむけた世界のうねりは完全に不可逆なものであり、大きなビジネスチャンスがあると思っています。「zeroboard」が普及することで、CO2排出量の可視化はA.L.I.がきっかけを作ったよね、と言われるようになることが目標です。企業の意識が変われば、日本が変わるはずと信じています。

※カーボン・オフセット/環境省HPより 環境省_カーボン・オフセット (env.go.jp)

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以上、第1回のインタビューでした。
環境への取り組みは企業の喫緊の課題ではありますが、何から手を付けるべきか分からない企業も多くあるようです。最初から完璧を目指さず、まずは可視化や長期目標の設定が重要ですね。また、消費者に見える形で、日常使うサービスの一環として提供されたとしたら、一人ひとりが環境について考え行動も変わっていくのではないかと思いました。

第2回は近日公開予定です。
上記のインタビューにもありました、CO2排出量の算出・可視化ができるプラットフォーム「Zeroboard(ゼロボード)」を3月3日から開催されている国際スマートグリッドEXPOに出展しております。第2回はその「Zeroboard」の仕組みを詳しく説明していきたいと思います。
ご期待ください(^^♪

▼3月3日に発表したリリースはこちらです!
CO2排出量を算出・可視化する、SaaS型脱炭素化プラットフォーム「zeroboard(ゼロボード)」を発表

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