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UXデザイン事業開始から1年。これまでとこれから。

今年はUXデザイン事業の成長年

約一年ぶりの社長コラムです。
A.C.O.の2017年は大きな変化こそなかったけれど、毎日毎週の小さな変化が積もり、一年を振り返ればいつもより変化の年だった、そんな印象でした。会社の外に出て周りの景色を見回すと、世界は絶え間ない大きな変化の連続です。特にデジタル変革によるインパクトはあまりにも大きくて、さすがに先読みする気力がおきません。最近老眼が進行してきたせいにしておきます。

一方、A.C.O.のパートナー(社員のこと)はというと、よく本が読まれ、日々熱い議論が交わされています。みんな時代の変化を敏感に感じ取り、発見し、自ら行動している様子でとても頼もしく感じています。自分も負けてられないなと思ったり、それとも寄りかかってみようかなとも思ったり。社長の心境は複雑なものです。

A.C.O.の小さな変化といえば、新規顧客とのパートナー契約や、プライバシーマーク取得(今頃?)、オフィス環境改善などありますが、なかでも比較的大きい変化といえば「UXデザイン事業を開始」したこと。開始から1年、おかげさまでUXデザイン関連プロジェクトは確実に増えました。想定外だったのは、後発参入したつもりだったのに、まだまだこれからのかなり未熟な市場だった、ということ。やってみないとわからないものだなぁと。ということで今年はUXデザイン事業の成長年と位置づけています。

コンペで勝ち続けられるのは、UXデザインがあったから

UXデザイン事業としてはまだ1年ですが、これまでUXデザインをやっていなかったというわけではありません。これまでも、ゾウとアリの戦いのようなコンペ(我が社は勿論アリ!)に参加して、企業サイト戦略・開発パートナーに選定いただける機会を増やしてきました。なぜコンペに勝てるのかというと、グローバル対応力、コンテンツ開発力、デザイン力、運用力に加えて、UXデザインの視点があるからだと思っています。

UXデザイン視点について、もう少し詳しく説明します。
例えば企業サイトリニューアルのコンペ。ここ数年のRFP(コンペに配られる要件依頼書)を見返すと、当初は今よりも目的がハッキリ示されていました。例えばグローバル営業のための認知度と理解度の向上、M&Aや社長交代による関係者メッセージ発信、危機管理時のマスコミへの正確な情報提供、コミュニケーション効率のためのグローバルルール、スマホ増加への閲覧対応、という具合に。こういった要件に対しての提案方法は当初、目的毎にコーナーを設置しましょう、というものでした。

ところが情報流通の環境が充実してくると、ユーザが企業を見る目に少しずつ変化が起きます。今まで誰も気に留めなかったことでも誰かが気づき、声を上げれば大きなニュースになる。企業に鋭い監視の目が注ぎ込まれるようになったのです。だから企業は現実を受け入れ、自らの社会的責任を正しく理解し、健全な事業と積極的な情報開示を一層求められるようになりました。今では投資も大きく関係するという構造に、この数年で大きく変化したのです。そうなると、企業サイトというものが担うべき目的はボンヤリとしはじめます。

そこででこのボンヤリとした状況を、UXデザイン視点で転換してみます。
ある人は消費者であるのと同時に投資家でもあり、もしかしたら強力な発信者、社会活動家でもある可能性だってあるわけです。こうなると、そもそも別人だと想定して情報設計を行うことが根本的な間違いを引き起こしている可能性があります。そこでそういったユーザを想定したコンテンツ提案と、ページ回遊設計に気を配るよう提案します。
また人は、企業と商品を切り離さず2つを行ったり来たりしながら認知・理解するような行動を取るような傾向にあります(それがB2BかB2Cかに限らず)。だから企業サイトは商品PRも巻き込んで(社内事情を超えて)、企業コミュニケーション活動のための手段の一つ、という役割りに拡大するのが自然な流れだと主張しています。

わたしたちはこのように、数値分析では見つけることが難しかったり見落としがちな行動の変化を、企業サイト提案に取り込んでいます。そこには程よくUXデザイン視点が練り込まれている、というわけです。


デジタルデザインの質を上げる、UXリサーチ

2017年に始めたUXデザイン事業の中で最もニーズを感じるのは、UXリサーチサービスです。これは見落とされがちな部分を今一度よく観察し、本当にあるべき姿を見つけ、次に何をしたらもっと良くなるのかを探るためにフィールド調査や専門家調査を行う、というもの。UXリサーチはすでに、企業サイトよりもデジタルサービスやデジタルメディアの改善や新規立上げプロジェクトに多く導入されています。

意外なことに、WEB企画制作の会社でこのようなリサーチプロセスを高い品質で提供できる会社は少ないようなので、UXデザインがDNAにあるA.C.O.は、このあたりの品質向上を一層求められる年になりそうです。
また、調査プログラムの品質が上がれば、A.C.O.の既存事業であるコミュニケーション戦略、コンテンツ開発、情報デザイン、クリエイティブデザインなど各サービスの品質向上につながると確信しています。


個人的には、キャリアシステムと人間理解

AIの時代が始まっているせいなのか、仕事の視野が狭まった感じがするせいなのか、個人的には今年は人間のことをもうちょっと深く知りたい気分になっています。例えば文化人類学、心理学、言語学、芸術学、脳科学といった専門分野の方々とお話する機会をつくってみようかなと。

それともうひとつ。準備してきた社内キャリア制度をようやくローンチとなりそうです。失うものが大きそうで長いこと躊躇していたプログラムです。人財を最大化していくことで「自分の足で立つ人を、つくる」というA.C.O.のミッションにつながるかどうか、ドキドキしています。

関係者の皆々様、今年もどうぞよろしくお願いします。



WRITER

倉島 陽一

YOICHI KURASHIMA
代表取締役兼CEO/PRODUCER

東京芸術大学美術学部建築学科卒業。設計事務所を設立。代表取締役退任後、A.C.O.創業と同時に入社し、2002年同社代表取締役に就任。クリエイティブディレクション、マーケティング、コンサルティング担当。

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