Hitamukiに入社した稲田さんのキャリアは、一本道とは程遠い。
福岡のIT系専門学校で開発を学びながら、学生時代から
HP制作やチラシ・名刺デザインを副業でこなしていた。
卒業後は受託開発会社にエンジニアとして入社し、
ホテルの顧客管理システムやタブレット学習教材の実装、
ECサイト構築まで幅広く手がけた。
学生時代に培った営業力を活かして、自分で案件を取ってきて自分で開発する——
そんな離れ業までやってのけていたという。
転機は、知人の紹介で飛び込んだ介護業界だった。
福岡で九州トップ10に入る展開数を誇る介護事業所に採用担当として入社し、
わずか1年で責任者に昇格。
数十名規模だった組織が780名にまで拡大する過程で、すべての職員採用に関わった。
その後は人事部長として組織開発にも携わり、さらにはAI推進室の立ち上げまで担う。
社内の業務効率化と生産性向上のために、AIを活用したシステム構築から社内研修まで
一手に引き受けていた。
エンジニア、人事部長、AI推進。
普通なら一つで十分キャリアになるような経験を、すべて通過してきた人間。
それが稲田さんだ。
生成AIの進化は追える。でも「課題解決の引き出し」が足りなかった
これだけのキャリアを築いた人が、なぜ安定したポジションを手放したのか。
稲田さんは少し言葉を選びながら、こう語った。
「うまく伝えられるか不安ですが、生成AIの進化と課題を、
より他業種、他業界目線で、より近いところで見て、感じたかったんです。」
生成AIの進化そのものは、当時の職場でも追うことができた。
しかし、進化を追うだけでは、生成AIを活用した業務課題の解決方法の選択肢は増えない。社内の課題に対してAIを当てることはできても、それはあくまで一社の中の話。
自分の「引き出し」の少なさに、稲田さんは明確な限界を感じていた。
「生成AIの進化をリアルタイムで追える。
かつ、さまざまな企業に対して生成AIを活用して課題解決ができる。
そんな環境が、今の自分を次のステップに引き上げてくれるんじゃないか——
薄い期待で動き始めたのがきっかけです」
ちなみに、「人事部長」という肩書きへの未練はなかったのかと聞くと、
あっさりとした答えが返ってきた。
「人事部長という肩書きには、興味はあまりないですね」
Hitamukiを選んだ「直感」の正体
人事経験者だからわかる。「会社は ”人” だ」という結論
福岡にもAI関連企業はある。
実際、前職より高い年収を提示する企業から複数の内定も出ていた。
それでも稲田さんは、Hitamukiを選んだ。年収は半減。それでも、だ。
「Hitamukiに決めたのは、事業内容がぴったりだったのもありますが、
正直、直感の部分が大きいです」
選考の過程でHitamukiの社員3名と話をした。
稲田さんの中に、一切の違和感がなかったという。
元人事として、何百人もの採用に関わり、組織を見てきた人間だからこそ、
その「違和感のなさ」の意味がわかった。
「元々人事を経験していたこともあって、会社って"人"だな、と僕の中で結論が出ちゃっているところがあるんです。代表の澤田と話す中で、この事業を一緒に伸ばしたいと惚れ込みました」
「ただの採用じゃない。本気の仲間探しだ」と確信した瞬間
内定後、代表の澤田と電話で話す機会があった。
そこで澤田がかけた言葉が、稲田さんの決断を決定的なものにした。
澤田『これからの稲田くんのキャリアを一緒に考えていきたいと思っている。
その結果Hitamukiじゃなくてもいいし、今の職場に残る選択をしてもうまくいくと思う』
澤田『ただ、稲田くんは何事も論理的に判断しようとするけど、こういうキャリアを考える時くらいは自分の直感を信じてみて決めてみてもいいんじゃないかな』
採用する側が、入社しない選択肢まで肯定する。
普通の企業なら、内定者を囲い込むことに必死になる場面だ。
稲田さんはこの言葉の裏側にあるものを、すぐに読み取った。
「あ、この会社はただ人を採用して事業を円滑に回すことを考えているんじゃない。
本気で仲間探しをしているんだな、と確信しました」
年収が半分になることへの迷いはなかったのか。
稲田さんはあっけらかんと笑った。
「別に生活できればいいし、最悪、自分で副業して収入を作ればいいじゃんって。
どちらかというと、Hitamukiでもらう報酬も自分で上げればいいやって感じで、
ラフに決めました」
入社直後の失敗エピソード。
—— PCの前で「くそーーー!」と叫んだ
入社してすぐ、稲田さんは
自分で獲得した最初の商談に臨んだ。しかし、待っていたのは手痛い洗礼だった。
お客さんがどこに悩んでいるのか。
それをどう解決できるのか。
解決方法をいかにわかりやすく伝えるか。
——
そのすべてにおいて、自分の中の答えが固まらなかった。
結果、打ち合わせの最中に完全に固まった。
失注寸前を一瞬でひっくり返した代表・澤田の背中
空気が凍りかけたその瞬間だった。
同席していた代表の澤田が、間髪入れずに口を開いた。
『代表の澤田です。本日はどうぞよろしくお願いします。
一言、私からご意見させていただくと——』
会話を一気に組み立て直し、打ち合わせの風向きを変えた。
それどころか、その場で案件化が確定した。
稲田さん一人で対応していたら、確実に失注していた商談だった。
打ち合わせが終わった後、稲田さんはPCの前で叫んだ。
「くそーーー!!!!!」
悔しさが止まらなかった。
もっと事業理解をしなければ。場数が必要なのか。
内省が渦巻く中、稲田さんはすぐに代表に電話をかけ、フィードバックを求めた。
「違和感を隠して否定から逃げた」——突き刺さったフィードバック
澤田のフィードバック、、
『場数は確かに大事だし、まだ研修自体経験がないと思うから、あの切り返しはこれから学んでいけばいい。まずは、お疲れ様。』
そこから約1時間、ディスカッション形式で振り返りが行われた。
お客さんが感じていた課題感の整理から、打ち合わせの構造分析まで。
その中で、稲田さんの胸に深く刺さった一言があった。
『稲田くんがこの課題を突破するための一番大きな障壁は、
まずは相手を否定することだね』
『一瞬、自分が違和感を感じたことに対して相手に伝えるか迷ったでしょ?
自分の中の違和感を隠して、否定から逃げた』
『別にお客さんを論破しろってわけじゃない。
あくまで相手の意見を尊重しつつ、正しい方向に導いてあげるために、
意見を伝え切らないといけないんだよね』
ブッ刺さった。 ——
これまでの自分は、相手の意見を尊重することはできていた。
しかし、自分の意見を拒絶されずに伝え切ることから逃げていた。
それを、一度の商談で見透かされた。
「商談コミュニケーションの不足を、ストレートに伝えてもらえたことで初めて理解できました。あの日がなかったら、自分の弱点にまだ気づけていなかったと思います」
社内完結からクライアントワークへ。壁の高さと、その先のワクワク
社内エンジニア、そして事業会社の人事部長。
振り返れば、稲田さんのキャリアはすべて「社内で完結する仕事」だった。
社外に向き合うクライアントワークは、Hitamukiが初めての経験だ。
「わかっちゃいたけど、ここまで壁が高いとは。正直、そう思いました」
けれど、その言葉にはどこか楽しそうな響きがあった。
「同時にワクワクもしているんです。3期目に突入したばかりのベンチャーで、1件1件の商談の結果が会社の存続を左右する。この重みを感じられる環境で挑戦させてもらえること自体が、ありがたいなと」
社内の課題解決と、クライアントの課題解決。
同じ「課題解決」でも、求められる筋力はまったく違う。
相手の業種も規模も課題も毎回異なる中で、限られた時間内に信頼を勝ち取り、
成果を約束しなければならない。
エンジニアとして培った技術力、人事部長として鍛えた人を見る目、AI推進で磨いた実装力
——これまでのすべてのキャリアが、ここで初めて一つに統合されようとしている。
全員が刺激になる。Hitamukiという環境で、どこまで食らいつけるか
稲田さんに、Hitamukiのメンバーについて聞くと、目を輝かせてこう話してくれた。
「インターン生ながら一人で3,000人規模のイベントを動かしている人間がいたり、別の会社なら余裕で年収1,000万レベルの元大手ITコンサルタントがいたり。
一緒に働いているだけで刺激になる社員がたくさんいます」
そんなメンバーと共に、日本の中小企業を明るくするために生成AIの課題を解決する。
日本の課題に真っ向勝負を仕掛け、クライアント企業に対してひたむきに努力し、
成果を創出する。稲田さんはその言葉に、覚悟と熱を込めた。
「僕はHitamukiを通じて、関わるすべての人の支えになれるよう、これからさらにレベルを上げていきます。今の会社で成長曲線が描けない方、もっとでかい仕事を経験したい方——まずは一度、話を聞きに来てみませんか」
人事部長の安定も、年収も手放して飛び込んだ先にあったのは、
最初の商談で固まるほどの壁と、それを超えたいと心から思える仲間だった。
肩書きではなく、実力で語れる自分になるために。
稲田さんの挑戦は、まだ始まったばかりだ。