HIKIFUDAは、「ものづくりから世界を拡張する」というミッションのもと、エンターテインメント業界に特化した課題解決型のサービスを展開しています。現在はOEM事業を基盤に、製造業におけるBPOサービスと業務DX支援を組み合わせた独自のアプローチで、業界全体の変革を目指しています。
当社では、学生が主役となって企画・実行に取り組む実践型プロジェクトチーム団体である自立型学生団体『UNION』を運営しています。セールスやPR、クリエイティブなど実務に直結したチームで、学生が裁量を持って挑戦するその仕組みとは——。今回は、UNIONの運営責任者を務める古玉さんに、UNIONが目指す世界観や具体的な取り組みについて語ってもらいました。
インターンを、ただの経験で終わらせない。UNION立ち上げの背景とは
「インターンって、もっと“実務”であっていいんじゃないか?」
そんな想いが、UNIONを立ち上げるきっかけでした。
HIKIFUDAでは当初、数名の学生インターンに営業サポートなどの業務をお願いしていたんです。最初は3〜4人ほど。けれど、「せっかくなら、もう少し人数を増やしてみよう」と声をかけてみたところ、あっという間に10人近くの学生が集まりました。
それなら、ただの“インターン枠”にとどめるのではなく、ひとつの組織として運営してみよう。学生団体のように、でも実践を重視した形で。そんな話し合いを重ねるうちに、少しずつUNIONの構想が形になっていきました。
実は、私自身も学生時代にインターンを経験しています。ラジオ局のADとしてさまざまな業務を担当していました。主にディレクターのサポート、各所調整作業、資料制作、原稿のコピー、買い出しが主な業務でしたが、これもどこか「お手伝い」に近い感覚でした。
本当は、もっと業務の本質に触れてみたかった。実際の現場で役割を持ち、責任をもって動く——そんな経験がしてみたかったんです。
だからこそ、UNIONを立ち上げるときに大切にしたのは、「社会人のようにインターンができる場をつくること」でした。単なる“経験”で終わらせるのではなく、学生が“仕事”として本気で向き合える環境を整える。それが、私たちの目指した姿でした。
「模擬社会人」を実践する場を、ゼロから築く
UNIONは、学生団体でありながら、“模擬社会人”としての実践を積める場でもあります。
セールス、PR、クリエイティブ――学生たちはそれぞれの専門チームに分かれ、実務に取り組んでいます。もちろん、責任の最終ラインやお金の管理といった部分は社会人STAFFの領域です。でも、そこに至るまでのプロセスは、基本的に学生たちに任せています。
「やりたいことがあるなら、どんどんやってみたらいいよ」
これは、私と社長の口癖でもあるんです。
正直なところ、ゼロから組織を立ち上げるのは本当に大変でした。
私自身、前職ではアーティストやタレントのマネジメントに携わり、複数の案件を同時に進めていた経験はありましたが、それでも“ゼロイチ”の立ち上げは別格の難しさがありました。
いくつものプロジェクトを並行で見ながら、組織の方向性を考え、ブランディングを固め、学生たちにどう伝えていくかを悩む日々。一緒にUNIONを作ってる社長のフォローはあったものの、日々の業務量や考えることの多さに追われる毎日が続きました。
それでも、最初の10人の学生メンバーが基盤となってくれて、少しずつ体制が整い始めました。私が伴走しながら、彼らが自走できるように土台を固めていく。そうやって、今のUNIONの形ができあがってきたんです。
学生が主役になるための組織づくり
学生たちが主役になれるように、最初はとにかくヒアリングに時間をかけました。「どんなことをやってみたい?」とじっくり話を聞きながら、新規営業のやり方など、まずは基本の型を教えていました。
ある程度型ができてきた今は、プロジェクトごとにPMを立てて、PMを中心にスケジュールを組み、メンバーにタスクを割り振るスタイルが定着しています。私が全面的に介入していたころと比べると、本当に大きく成長したと感じますね。
コミュニケーションの難しさも、最初はとても悩みました。
つい「やってあげたほうが早い」と思いがちですが、それでは意味がない。最近は「引くこと」を意識していて、指示は2割、アドバイスが8割くらいです。やり方を教えつつ、本人たちが考えるスペースを残すようにしています。
UNIONを運営していて、何より驚かされたのは、学生たちのスキルの高さでした。
たとえば、KPI報告の資料をお願いしたときのこと。私が「ちょっと作ってみて」と言ったら、すぐに生成AIなども活用しながら、洗練された資料を作ってくれたんです。
「え、そこまでできるの?」と、思わず目を見張りました。
UNIONには今、3つの部門があります。営業部、広報部、デザイン部。それぞれが実務に直結した役割を担っています。
営業部の学生たちは新規営業に挑戦していて、最近では企業や団体にDMを送り、アプローチを行ったりしています。
広報部はSNS運用を中心に、新メンバーを集めるための施策を考えたり、外部企業様とのコラボを仕掛けたり。
あとは、J-WAVE公式の学生団体とコラボしてイベントブースを出したことも。UNIONは、グッズの企画提案から制作ディレクション、販売オペレーション設計まで一貫して担当しました。企画立案から利益設計、販促施策、運営まですべて自分たちが主体となって動かした経験は、きっと大きな財産になるはずです。
そんな姿を見ていると、本当に学生たちの成長を日々感じます。最初は資料づくりも何から始めればいいかわからなかったのが、今では自分で調べてPDCAを回せるようになっていて。日報には「期日管理の大切さを学んだ」などの言葉もあり、頼もしい限りです。
実際、販促ポスターひとつ作るのに、以前は3か月かかっていたのが、今は2か月以内にイベント全体を調整して形にできるようになりました。UNIONがしっかり「社会人の入り口」になっていると、実感しています。
「まずはやってみる」から始まる。Try & Learnの文化が根付く環境
UNIONを始めてから、学生たちの活躍の場はどんどん広がってきました。たとえば、UNIONの中でスキルが認められた学生は、UNION supportというHIKIFUDAの実務にも関われるようになっています。
実際、UNIONでの経験を通じて、HIKIFUDAに入社予定の学生(内定者)も出てきました。インターンとして実務に触れながら、会社のカルチャーを肌で感じてもらう。そのなかで「ここで働きたい」と思ってもらえるのは、すごくありがたいことです。お互いの理解が深まったうえで入社するので、ミスマッチも起きにくい。今、とてもいい循環ができていると思います。
社内にも変化がありました。HIKIFUDAはもともと若手社員が多い会社ですが、そこに学生メンバーが加わったことで、「ちゃんとしなきゃ」といった意識が自然と芽生えるようになったようです。
定期的に食事に行ったり、就活の相談に乗ったり。業務以外の時間でも、学生と社員の距離が近づいているのがわかります。組織の雰囲気も、どこか柔らかくなった気がしますね。
実務面でも、デザイナーが学生の制作物をレビューしてくれたり、社長が労いの言葉や経営視点でアドバイスをくれたり。社員も裏側でしっかり関わってくれています。私自身も、このUNIONの取り組みを社内にもっとオープンにして、「こういう価値があるんだよ」と伝えていくようにしています。社員のちょっとした声かけやリアクションが、学生メンバーにとって大きな励みになるんです。
私も社長も、基本的なスタンスはTry & Learn――「まずはやってみよう」なんです。もちろん、社会に出ても通用する力を育てたいという前提はあります。でも、最初から完璧を求めるんじゃなくて、まずは飛び込んで、そこから学んでいけばいい。実際に、新規営業をやってみたいというのも学生からの希望でした。
ビジネスの現場で本当に大事なのは、「期日を守る」「段取りを組む」「裏取りをする」といった基本的なことだったりします。そういう“社会人の当たり前”を、UNIONで自然と身につけてほしい。私たちは、そんな思いで運営を続けています。
UNIONが描く、これからの未来
私自身、正直、最初は戸惑いもありました。学生団体の運営といっても、ここまで本格的に組織として回していくとは思っていなかったからです。組織をゼロから立ち上げて、少しずつ仕組みをつくって、仲間を増やしていく。その一つひとつのプロセスが、自分にとって大きな学びになっています。
UNIONは、これからもっと組織としての規模を広げていきたいと思っています。そして個人的には、「エンタメと関わり、社会課題を解決する学生団体」へと進化させていくのがひとつの目標です。今はまだ、その土台を築いているフェーズですが、だからこそ面白いし、やりがいもあります。
UNIONに向いているのは、自分で考えて動ける人。わからないことがあれば、素直に聞ける人。型はきちんと教えるので、「ビジネスをやってみたい」「実務に関わってみたい」という熱量がある人に来てほしいですね。いわゆる“社会人の仕事”を経験したいと思っている学生のみなさんには、UNIONのカルチャーはきっと合っていると思います。
今いるメンバーも、本当に多様性に富んでいます。大学生もいれば、専門学校生もいるし、学部もバラバラ。でも、だからこそ生まれるコミュニティの空気があります。得意なことを率先してやってくれる人もいれば、「ここはちょっと苦手なんだよね」と正直に言ってくれる人もいて。そのなかで自然と補い合う関係ができていくのが、すごくいいなと思っています。
今後は、OJT的な仕組みも整えていく予定です。誰かが新しく入ってきたときに、自然と馴染めるような体制を整えていきたい。まだまだ発展途上ですが、これから一緒につくっていける人に出会えたらうれしいですね。