Webに関わり始めたのは18歳ぐらいの時から。デジタル系クリエイティブの学校に通っていて、Webに触れた時に「これ、全世界から見れるんだ。すごい!」と思ってからです。そこから当時のツールや技術を学んだりしながらバイトしてそのまま社員になり、3年ぐらいはがむしゃらに実装をしてました。あるとき、Webクリエイターの集まりに参加したことがありました。当時は日本のWebクリエイティブが世界中から賞賛を受けている時代で、すごい人たちを見ていると自分のWebクリエイターとしての将来に疑問を感じて、そこから自分の視野と選択肢を広げていきました。
何でもつくる経験
クリエイターポジションからWebディレクター、その後はキャンペーンなどを多く取り扱うプロダクションに転職しました。Webディレクターをやっていた当時は、テレビやパンフレットなど他の媒体が先行して、その素材を使ってWebを作っていくことが多かったんですが、転職したプロダクションは、素材も全部をつくらないといけない会社で。なので、ゼロから何でもつくる、みたいな感覚になったのはこの頃です。
今はフォーデジットの執行役員として大手企業のクライアントを担当しています。クライアントとのコミュニケーションから始まり、プロジェクトメイクや提案、実際の工程の中でも、調査やUI設計にも関わってます。かなり広い領域を並走する感じです。プロダクションの時は「つくる」ということに集中してましたが、今はもっと踏み込んで、ユーザーにどんな影響があるのか、ビジネスサイドの要求や力学はどうなっているのか、といったことも踏まえて見えるようになってきたので、当時考えていた「つくる」意味合いも変わってきました。
どれだけチームとして一体になれるか
プロジェクトチームは同じ目標に向かってフラットに頑張ろうと行きたいところですが、どうしてもクライアントとプロダクションとか、アートディレクターとデザイナーとか、人が集まるとどうしてもそういった関係があります。それぞれプロフェッショナルですが、逆に言うと、専門領域以外はプロフェッショナルではないこともある。だからこそみんなが持っているアイデアや解決策をフラットな関係で言えるようになっていたいと常に考えています。
クライアントとクリエイターの間で対立構造になってしまうことも経験しましたし、逆にすごくいい雰囲気で相乗効果というか、プラスの方向になっていくことも経験しました。チームの関係性ってものすごく重要だなと実感しましたし、それは今も同じです。どんなに素晴らしいアイデアでもどんなに緻密に組み立てたものでも、関係性が良くないといい仕事にはなりづらいですし、逆にクライアントやユーザーと僕たちも一緒に、本当に必要だと信じてやれるものであれば、結果も伴ういい仕事になると信じています。
人間的なつながりを大事に
福島の会津出身なんですが、高校の頃にちょっと遠くの学校に通っていたんです。最初、地元の友達がいなかったのもあって、無口でクールなキャラみたいになったことがあって。(笑)そのあと野球部に入って無事にどんどん友達ができていったんですけど、やっぱり孤立してる時ってしんどいんですよね。だから、孤立しないようにしたくて。
特にものづくりをたくさんの人たちと一緒にやってるわけですから、チームみんなで取り組むことがプラスになる本当に楽しい仕事だなと思います。プロジェクトの成功という目的がある以上、会話をしながら前進していくことで必ず良い方向に向かうと思っています。
僕自身はUXデザイナーというポジションがメインですが、広く経験してきたからこそデザイナーやエンジニアにリスペクトもあるし、逆にもっとやってほしい気持ちもある。いいものをつくるために人同士の関係性を大事にしたいと思いますし、深く話せる関係を作りながら同じ目標を持つ仲間になっていきたいですね。
イージーな仕事ではないからこそ思いを持って
最近は何をするにもサクッと手に入ることが多くなってきました。大枠を1年ぐらい学べばそれで仕事になるような宣伝文句もあったりします。でも、本当にそれは専門性の価値を下げてしまうことにつながると思ってて、やっぱり本当の意味でどれだけ経験したかが大事にだと思っています。僕も時間がかかりました。実制作の現場で何年もやってフォーデジットに入ってもすぐに今の仕事ができるようになったワケではなかった。一つ一つ経験をしながら少しづつ大きな仕事ができるようになっていった。
だから、成長する意欲を持って一緒にやりたいなと思うし、どこかで仕事の楽しさをお互いに持っていて欲しいと思っています。簡単じゃないからこそ、想いを持って、楽しさを持っていたいです。
今もすごく多くのユーザーがいるサービスに関わることもありますが、自分の生活の中にあるサービスに関わるのはすごく楽しいですし、ゆくゆくはもっと世界や宇宙とかにつながっていくと楽しそうですよね。(笑)
撮影:吉田周平